酒造免許についてあれこれ

酒造ベンチャー設立支援のオンラインサロンを今月からはじめた。
https://synapse.am/contents/monthly/flfs

まず酒造免許の説明から始めるほうがいいかな?と思い調べなおす(なんせ免許とったの3年も前だからさ)。
免許について法律上の規定がキレイにまとまってるサイトが相変わらず無い。そらみんな困るわ。

wikipediaの記述はこんな感じ。ぶっちゃけ間違ってる。

酒税を円滑に納付させることを目的とした制度ではあるが、神社などの濁酒など販売を目的とせず、伝統文化的価値の大きいものなどは、構造改革特区の申請により酒税法の適用外になることもある。(wikipedia)

どぶろく特区などの特区制度は正規の酒造免許とは別の簡易免許が交付されるが、法定移出数量が緩和されるだけで基本的に同じもの。 どちらの免許も販売を目的にするかしないかは条件に関係ない。「伝統的文化的で販売を目的にしないものに許可を出すのが特区である」というのは特区制度にたいする勘違いである。特区は経済政策の一環としての規制緩和をする制度なのでむしろ金儲けに使うのが本来のありかたである。

例外で認められるっていうのは実際に例があるの?甘酒やお神酒の配布と勘違いしてるんじゃないかな?この二つは酒造免許がそもそもいらない。

法定製造数量
酒税法第7条第2項において、種類別に1年あたりの最低製造見込数量(法定製造数量)が定められている。免許取得後1年間に製造しようとする見込数量がこれに達しない場合は、免許を受けられない。また、実際の製造数量がこれを3年間下回ると、免許取り消しとなる。

(wikipedia)

厳密には製造数量ではなく移出数量だ。工場からの出荷量(酒税の対象になる)。製造数量と移出数量はそれぞれ別の項目なのでごっちゃにするのは良くない。
こちらは間違いとはいいがたい。条文に「3年達成できなければ」 と書いてある

取り消しというか厳密には免許の更新が却下される。

ただし法律は実際の役所での運用とセットなので実際は異なるというものは多い。条文どうりに運用するのを教条主義といって「やってはいけないこと」と法学部では一年生の時に習う。

最低移出数量について言えば実務上達成できなくても免許を取り消されるという事はまずない。
なんせウイスキーとか短いヤツで5から7年寝かせるからね。適用すると1年目の免許更新ができず倒産してしまう。「やむを得ぬ事情があったならしょうがない」って事になってる。

じゃあ最低量なんて意味無くない?と言われるとそれはちょっと違う。売上げで考えれば分かる。1000円/Lとすると

リキュールの6kL、焼酎の10kLはそれぞれ年商600万円・1000万円になる。2000円/Lで出荷したとして倍だ。
(3000円/Lは現実的ではない。問屋と酒屋の取り分を乗せると小売価格が6000円/Lになる。そんな焼酎みたことない)

家賃などの固定費を払い、ボトル代を払い、酒税を払い、ラベル代を払い、原料費を払い、人件費を払ってなお設備投資を回収してという事ができないと倒産してしまう。法律上の免許うんぬん以前にたくさん作れないと潰れる。かつかつ維持費まかなえる位の数量を基準に最低移出数量が決まっている。

生産能力と販売能力は高いに越したことは無く、この程度の数字は軽々クリアできないと現実問題として倒産しちゃう。
「最低移出数量は法律上はたいした問題ではないが、経営上は大問題」という感じである。

各品目別の免許については次回。

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