意外と身近な存在 アルコールについて

醸造には5000年の歴史があり、いまでもエタノール(CH3CH2OHまたはC2H5OH)は糖の発酵で作られている。
人類最古のテクノロジーの1つで「人類は火を扱うより先に酒を飲んだ」なんて言われてる。

エチレンから化学的に合成することもできるけれど、こちらは食用に使うことが法律で禁止されているので人の口に入るアルコールは全て醸造で作られている。(醸造で作ったアルコールは人にも工業用にも使えるし材料も安いので合成で作ることはほとんどない)

飲むだけではなく工業用の溶剤とか燃料としても重要で、病院や飲食店とかで使う消毒液とか食品の保護のための防カビ剤としても使われてる。カステラやレバーペーストなんかの加工品を真空パックするときにプシュッと霧吹きで1ふきするとカビや菌の繁殖を抑えるので消費期限がぐっと長くなるんだ。

人体に害がなく、食中毒その他の予防に役立っていて、化学的にも便利な性質(水に溶けないものが溶けて簡単に揮発する)があるので、意外と生活に関わっている。


純粋なグルコースからエタノールを製造場合、

C6H12O6→2 CH3CH2OH + 2 CO2

となる。
C=12,H=1,O=16なのでグルコースの分子量は180、エタノールが46、CO2が44だ。
グルコースが180gあればエタノールが92gとCO2が88gが取れる(事になる)。発酵で分解された糖は半分がアルコール、半分が炭酸ガスになる。

もちろんこれは理論値だ。
実際には材料が純粋なグルコースじゃないし、アルコール度数が15%を超えると発酵させている菌が死んでしまうので発酵は止まる。理論値のとおりに作れるわけじゃない。
(化学の本にはスクロースを材料にした方が実際の経済効率はいいとかなんとか書いてあって他にも色々あるらしい。)

発酵が済んだ液をろ過して菌と不純物を取り除いた後、その液を連続式蒸留器にいれて95%のアルコールを抽出する。
(95%以上は蒸留では作れないんだ。その理由はググって)


これが醸造アルコールとして最初に書いた様な用途に使われていて、酒として飲む場合はホワイトリカー中性スピリッツ(英語のニュートラルスピリッツの訳)と呼ばれている。 旧酒税法上の分類の甲種焼酎という呼び方も今でも使われてる。

梅酒や日本酒などの酒の原料として使う場合は酒税法上の呼び名「酒類製造用アルコール」と呼ばれる。

基本的に全部同じもので呼び方だけ違う。アルコール事業法上は醸造アルコール、酒税法上は酒類製造用アルコール、日本では一般的にホワイトリカーや甲種焼酎と呼ばれていて、国際的には英語のニュートラルスピリッツだ。


余談だけど、日本の酒飲みの中で「アル添した日本酒を飲むと頭痛する」と言う人いるけど、基本的にはプラシーボ効果でアルコールのせいではない。
ノンアルコールビールでもビールだと言ってしこたま飲ませると人はベロベロに酔う」という実験があって、思い込んでるとその通りになっちゃうからアルコールのせいじゃなくて「アル添した日本酒を飲むとオレ頭痛するんだよね」って思って飲んでることが本当の原因だ。

「チョーヤの梅酒とかカルアミルク飲むと頭痛するんだよね」って人にはあったこと無いでしょ?醸造アルコールで作られてるけどね。


さっきも書いたけどこの式(C6H12O6→2CH3CH2OH + 2CO2)から発酵で分解された糖は半分がアルコール、半分が炭酸になる。
液をそのままビン詰めすればシャンパンや発泡日本酒なんかの炭酸のお酒になるし、ワインや日本酒は樽の段階で炭酸ガスを抜いた後に瓶詰めしているから発泡しない。

逆にパン生地はパンを膨らますために炭酸ガスはいるけどアルコールはいらない。イースト菌は炭酸ガスといっしょにアルコールも作ってるんだけど、オーブンで焼いて揮発させるのでパンには残らないんだ。

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